贈与とは他者へ財産の無償移転を言い、生きているうちに財産を無償移転することを生前贈与と言います。不動産など資産価値の高い財産を所有している場合、財産を減らして相続時に備えるために生前贈与を活用されることがあります。今回は、不動産生前贈与のメリットやデメリット、不動産の生前贈与の方法などをご紹介します。
また、所有している不動産は相続によって受け継ぐことも可能ですが、場合によっては生前に贈与しておいたほうが良いとこともあります。
【メリット】
1、生前に確実に財産を引き継げる
2、収益物件では、贈与後の収入を受贈者の収入とすることができる
3、相続時の税金を減らせる可能性がある
4、婚姻期間20年以上の配偶者への自宅の贈与は特別受益の対象外となるの で、配偶者に多く相続させることが可能
【デメリット】
1、贈与税や登記関係の税金や費用がかかる
2、相続時精算課税を利用して贈与税を減らしても、最終的には相続税の対 象になるので、税の軽減にはならないことがある
3、生前贈与分が特別受益とみなされ、相続分が減ってしまうことがある
① 不動産の贈与契約書の作成
贈与は、贈与する人(贈与者)と贈与される人(受贈者)との契約です。法律上は口頭での約束でも贈与契約は成り立ちますが、名義変更手続きでは「登記原因証明情報」という書類が必要です。贈与契約書も登記原因証明情報に該当します。その土地の所在地などの情報を正確に記載する必要があるため、あらかじめ法務局で「登記事項証明書」を取得します。
➁ 不動産の名義変更の登記
贈与したことを明らかにするため、対象となる不動産を管轄する法務局で名義変更の登記を申請します。登記申請は義務ではありませんが、名義を変えておかなくては不動産の権利を証明できないため皆さん登記をされます。
(必要書類等)
●登記申請書
●登記識別情報又は登記済証(一般的に権利書と呼ばれる書類)
●贈与する土地の固定資産評価証明書
●登記原因証明情報(贈与契約書など)
●贈与者の印鑑証明書
●受贈者の住所証明情報(住民票など)
【相続時精算課税制度】
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子または孫に財産を贈与した場合、累計で2,500万円までは贈与税がかからない制度です(2,500万円超の部分については一律20%が課される)。
ただし、相続が発生した後の相続税申告時は、生前贈与された分の金額も戻す形で税額を計算します。この制度を選択すると、利用している人との間(たとえば父親と長男など)では暦年贈与が利用できず、110万円の基礎控除も適用されません。
【夫婦間での贈与の非課税制度】
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に、最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる制度です。暦年贈与の基礎控除も利用できるので、合計で2,110万円までは贈与税がかかりません。
※どちらの制度も、利用する場合には贈与のあった年の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要です。