◇ 相続財産管理人とは
子どもがいないご夫婦が2人で生活されている場合、どちらかが先に死亡してしまいますと、1人で生活していかなければならず、身の回りのお世話を法定相続人以外の方がされるということもあるかもしれません。
亡くなった方に法定相続人がいるのかどうかはっきりしないとき、利害関係者、検察官等の請求によって相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てます。
相続財産管理人とは、相続人若しくは相続人の債権者などを探し出すまでの間、相続人の代わりに相続財産を管理する人で、一定の方から家庭裁判所に対して申立て、家庭裁判所が選任するという形を取り、手続きを進めていくことになります。
家庭裁判所はその申立てを受け、相続財産管理人が選任されたことを公告し、相続人が名乗り出るよう促します。
2ヶ月以内に相続人が誰も名乗り出なかった場合、次に亡くなった方の債権者や受遺者に対して請求するよう公告します。
債権者や受遺者は公告から2ヶ月以上の期間内に請求しなければなりません。
そして、債権者や受遺者への公告期間経過後、さらに相続人が明らかになっていない場合、相続財産管理人や検察官の請求により、さらに6ヶ月以上の期間を定めて相続人の権利を主張するべき旨を公告しなければなりません。
この6ヶ月以上の期間を過ぎても相続人である権利を主張する者がいないときは、相続人、債権者などはそれぞれの権利を行使できなくなります。
その後、相続財産がまだ残っていた場合は、特別縁故者にその相続財産の一部若しくは全部を与えるか、国庫に帰属します。
また、相続人全員が相続放棄をした場合なども、結果的には相続人がいないということですから、このような場合必要に応じ、相続財産管理人を選任するということになります。
相続人ではないけれど、被相続人の面倒をみてきた、という方は特別縁故者の手続きをする必要がありますが、それにはまず相続財産管理人の手続きをする必要があります。
◇ 不在者財産管理人とは
相続人の中に行方不明者がいる場合、相続人が1人でも欠けていれば遺産分割協議の話し合いができず、相続手続きが進みません。
そのため、その行方不明の相続人の代わりに不在者財産管理人が遺産分割協議の話し合いに参加し、分割を進めることになります。
ただ、行方不明の相続人に代わり、遺産分割協議に参加するわけですから、その遺産分割協議には家庭裁判所がかなり関与することになります。
|